CLAY SHOOTING

― クレー射撃とは? 

クレー射撃とは?
静と動が織りなす究極の集中力
クレー射撃は、飛び交うオレンジ色の「クレー(Clay Target)」を散弾銃で撃ち抜く、集中力と反射神経が試されるスポーツです。日本では「狩猟」のイメージが先行しがちですが、世界ではオリンピック種目にも採用される高度な競技として発展しています。
 発祥と歴史 
貴族の遊びから近代スポーツへ
クレー射撃の起源は、18世紀後半のイギリスに遡ります。当初は生きた鳩(Pigeon)を的にした射撃競技として、貴族階級の娯楽として行われていました。しかし、動物愛護の観点から、19世紀半ばには「ガラス玉」や「土製皿」といった人工的な標的が用いられるようになりました。
現在の「クレーターゲット」の形が完成したのは、1880年代のアメリカです。粘土(Clay)を固めて作られた皿型の標的が主流となり、競技名も「クレー射撃(Clay Target Shooting)」として確立されました。この競技は世界中に広がり、1900年のパリ大会で近代オリンピックの正式種目として採用されました。

BASICS

 クレー射撃の基本 

クレーとは?
クレー射撃で使用される「クレー」とは、空中に放たれる円盤状のターゲットのことを指します。

クレーのサイズ
直径約11cm・厚さ約2.5cm

散弾が当たった瞬間に砕けるように陶器製で設計されています。近年では環境に配慮したエコ素材のクレーも広く使われています。

クレーが飛び出す仕組み
射台(撃つ場所)でコール(「ハイ」「ポオ」などの掛け声)をすると、放出機からクレーが約80km~100km/hで放出されます。
スキートやトラップなどの種目によって、飛ぶ方向や角度、速度が異なります。

砕ける瞬間
散弾が命中すると、クレーはパッと砕け散ります。この“割れた瞬間の視覚的な爽快感”が、クレー射撃ならではの醍醐味のひとつです。
クレーの割れ方によって、一発で仕留めたのか、わずかにズレたのか、結果が瞬時に分かる明快さも魅力です。
クレー射撃に使用する銃
クレー射撃で使用される銃は、ショットガン(散弾銃)と呼ばれる種類の銃です。
ライフル銃とは異なり、小さな鉛の粒が集まった「散弾」を一度に広がるように発射するのが特徴で、空中を高速で飛ぶクレーを撃ち抜くために、最適化された銃になっています。
銃へのこだわり
選手ごとに体格や射撃フォームが異なるため、以下の部分を細かく調整する人もいます。

・ストック(銃床)の長さ・角度
・頬付けの高さ(コム)
・バランス調整(重心位置やウェイト)

しかし、純正のストックだから当たらないということではないです。始めたての方は、銃に慣れることが最優先で、慣れてきたら好みの調整をするほうがおすすめです。
金子選手が使用している銃
金子選手が使用している銃
銃の価格帯
クレー射撃で使用する競技用ショットガンは、一般的に以下の水準です。

・競技ミドルモデル:30〜60万円/中古10万円~
競技アッパーミドルモデル:60〜150万円/中古20万円~
競技トップエンドモデル:200〜500万円以上/中古50万円~

一流選手になると「車より高い銃」を使っていることも珍しくありませんが、ミドルモデルだから当たらない、トップエンドモデルだから当たるということは一切ありません。自分の好きな銃を使うのが一番おすすめです。
ルールと競技の流れ
クレー射撃には主に「トラップ」と「スキート」の2つのオリンピック種目があります。
種目名 トラップ スキート(金子選手の種目)
競技概要
地中に設置された放出機(トラップ)から、
左右正面✕高中低の組み合わせ9種類のうち、
ランダムな方向に飛び出す。
クレーに対して2発まで撃つことができる種目。
1発目で当てても、2発目で当てても得点は1点。
最初から銃を構えて撃つことができる。
左右に設置された高低差のある放出機
(左:ハイハウス・右:ローハウス)から、
常に決まった軌道で飛び出すクレーを撃つ種目。
1枚に対して1発しか撃つことができない。
銃を構えずに降ろした状態から、
クレーが放出された瞬間に構えて撃たなければならない。
クレーの飛び方
射手の正面、15m先から奥に飛び出します。
コールした瞬間に1枚のクレーが放出される。
クレーの速度は、約110km/h。
クレーが決められた交差点を通過するように飛びます。
射台によって左右のどちらか1枚、
または、左右同時にクレーが放出されます。
クレー放出のタイミングはコールしてから
0~3秒の間ランダムで放出される。
クレーの速度は、約85km~90km/h。
射台(射手)の位置 射手は平行一列に並んだ5つの射台を
時計回りで移動しながら撃ちます。
射手は半円形の8つの射台を移動しながら撃ちます。
競技では、射手はクレーが放出されてからコンマ秒以内に狙いを定め、引き金を引きます。正確な照準、クレーの軌道を読む判断力、そして何よりも一瞬で集中力を高める精神力が求められます。

クレー射撃をもっと詳しく知る
競技のルールや魅力について、ミズノ公式サイト「MIZUNO MAGAZINE」で詳しく解説されています。
安全性への配慮と健全性
クレー射撃は銃器を使用するスポーツですが、日本では銃刀法(銃砲刀剣類所持等取締法)に基づき、厳格な管理のもと行われています。
許可制:銃器の所持は、所轄警察、県警本部による厳しい審査と学科試験および実技試験講習を経た上で、都道府県公安委員会から発行される許可証が必要です。
射撃場の安全性:射撃場は周囲に防護壁やネットを設け、安全管理者が常駐しています。
競技としての健全性:集中力と精神性を重んじるスポーツであり、競技者の倫理と安全への配慮が最も重視されます。

IN JAPAN

 日本のクレー射撃 

日本代表選手の選考基準(JOC強化指定)
オリンピックや世界選手権など国際大会に出場する日本代表選手は、日本クレー射撃協会が定める選考会で決定されます。
選考基準は年度によって変わりますが、国際大会での成績を意識した「基準点(ミニマムスコア)」が設定されています。
例えば、JOC(日本オリンピック委員会)の強化指定選手に選ばれるには、男女・種目別に定められた高い基準点(例:スキート男子118点以上、女子115点以上 / 予選125枚中)を国内の選考会でクリアすることが求められます。

●オリンピック クオータプレイス(出場枠)獲得
オリンピックの出場枠(クオータプレイス=QP)は、オリンピック開催のおよそ2年前から開催年の春先までに開催される世界選手権や大陸選手権、ワールドカップなどの大会で獲得することができます。QPは選手個人ではなく国に与えられるため、出場枠獲得後、改めて国内選考会などを通じて、オリンピック代表選手が決定されます。
JOC TEAM JAPANロゴ
JOC TEAM JAPANロゴ
オリンピックでの日本の成績と著名な選手
クレー射撃は、射撃大国が強豪として知られる中、日本も国際舞台で顕著な成績を残しています。
大会
種目
選手名 メダル
1992年 バルセロナ五輪
トラップ
渡辺 和三 銀メダル
日本人唯一の五輪メダリスト

渡辺 和三(わたなべ かずみ)選手
1992年 バルセロナ五輪にクレー射撃/トラップ種目で出場し銅メダルを獲得。日本人初のメダリストであり、現在クレー射撃競技における唯一の五輪メダリスト。


著名な選手

中山 由起枝(なかやま ゆきえ)選手
アジア大会、世界選手権で金メダルを獲得し、2008年北京大会から5大会のオリンピックに出場している、日本の女子トラップにおける第一人者。

戸口翔太郎(とぐち しょうたろう)選手
2023年のワールドカップで、日本人として約19年ぶりの大会記録更新を果たした現役の日本代表選手。パリ五輪では日本の代表枠獲得に至らなかったものの、最終予選では国内歴代最高順位を獲得。28年LA五輪を視野に入れ、取り組んでいます。

麻生 太郎 元首相
政治家としても知られる麻生氏は、モントリオールオリンピックのクレー射撃(スキート)の日本代表経験を持ちます。

俳優・タレント
趣味としてクレー射撃を楽しみ、その魅力をメディアで語る著名人もいます。
主な著名人、加藤浩次さん、ヒロミさん、堺 正章さん など

▶芸能文化人ガンクラブ
芸能文化人ガンクラブは、芸能界・文化人・各界の有志が集まり、クレー射撃を通じて交流を深めるクラブです。
クラブの会長はタレントのヒロミさんが務め、射撃文化の健全な発展や、競技の魅力発信にも積極的に取り組んでいます。
初心者から上級者まで幅広い射撃愛好家が参加し、安全で楽しい射撃環境づくりを推進しています。
詳しくは下記公式サイトをご覧ください。
国内・国際主要大会
大会名 概要と位置づけ
全日本選手権大会 国内最高峰
トラップ・スキートなどの各部門で、その年の日本一を決定する国内最高峰の大会。
国民スポーツ大会(旧国民体育大会)
国内主要
各都道府県の代表選手(各種目2名ずつ)が競う、大規模な国内総合スポーツ大会の一部門。
個人戦のほか、団体、総合戦がある。
ISSF世界選手権大会
国際最高峰
国際射撃連盟(ISSF)が主催する、オリンピックに次ぐ最高峰の国際大会。
オリンピックの出場枠(クオータプレイス=QP)獲得にも直結します。
アジア競技大会(アジア大会)
国際主要
アジア版オリンピックとも呼ばれ、アジア地域での競技力向上を目指す重要な大会です。
国内大会のスケジュール、詳しい情報はこちらからご覧いただけます。

ATTRACTION

 競技の魅力 

クレー射撃の面白さは、「静」と「動」の極限のコントラストにあります。
精神力・戦略性・反射神経の融合
射台に立つ瞬間は、完全に「静」の世界です。集中力を高め、精神を統一し、一発に全てをかける「静」の準備が行われます。しかし、クレーが放出された瞬間、一気に「動」の世界へと転じます。

1.極限の集中力
いつ飛び出すかわからないクレーに対し、射撃前のわずかな時間で心を整え、狙う一点に集中を集約させる力。この“静”の集中が、次の一発の精度を決定づけます。

2.瞬間判断と反射神経
クレーが飛び出した瞬間の軌道を捉え、銃を素早く構え、狙い、引き金を引くまでの動作はすべて一瞬の判断。コンマ1秒の遅れが、結果を大きく左右します。

3.戦略的な思考力
風の有無、天候の変化、射場の特性、弾の選択など、環境や装備への理解と対応が勝敗に直結。経験と戦略眼が、安定した結果を生む鍵となります。
開放感と生涯スポーツとしての可能性
クレー射撃は、山奥の自然豊かな射撃場で行われます。広大な空のもと、空気の匂いや光を感じながら行う射撃は、都会の喧騒から離れた開放感をもたらします。また、筋力や走力に過度に依存しないため、男女や年齢に関わらず、長きにわたり楽しめる生涯スポーツとしての側面も大きな魅力です。


金子選手が感じるクレー射撃の面白さ
金子選手にとってのクレー射撃の面白さは、「自分の成長が数字として明確に表れる」点と、「メンタルコントロールの奥深さ」にあります。1枚1枚のクレーにこだわり、いかに平常心を保って競技に臨めるか。この自己との戦いこそが、金子選手を駆り立てる原動力となっています。

SUPPLIES

 用具と服装 

クレー射撃に必要な用具と服装
クレー射撃を行うには、競技用の散弾銃のほかに、安全と快適性のための特別な用具と服装が必要です。
必須の用具・アイテム
アイテム 目的と役割
散弾銃 競技に使用する銃器。トラップ・スキート共に主に上下二連式が用いられます。
装弾(弾薬) 散弾(小さな鉛玉)の入った実包。競技用は狩猟用より散弾の量が少なく、粒が小さいのが特徴です。
例:狩猟用=32g 5号(3.0㎜) 競技用=24g 9号(2.0㎜)
イヤープロテクター
射撃時の大きな音から聴覚を守るための耳栓またはイヤーマフ。必須アイテムです。
シューティンググラス 散弾やクレーの破片、風などから目を保護するサングラス。色付きレンズは視界やクレー自体のコントラストを高めます。
帽子 シューティンググラスと同様、散弾やクレーの破片などから頭を保護する役割のものです。
シューティングベスト 装弾を入れるための大き目なポケットがついていたり、挙銃動作や銃のマウントを安定させたりする専用ベスト。
服装・ウェア
射撃時の動きを妨げず、天候に対応できるスポーツウェアが基本です。

1.トップス
動きやすいTシャツやポロシャツ。冬場は防寒着を着込みますが、銃を構える際に動かす腕や胸、肩周りがごわつかないように注意します。

2.ボトムス
動きやすく、しゃがんだりしても窮屈でないパンツやジャージが多いです。

3.シューズ
射撃による反動を受け止めることや身体がブレずに安定した軸回転ができるようにスポーツシューズやトレーニングシューズが推奨されます。

EXPERIENCE


 体験できる場所 

手軽に体験できる施設
現在の法律では実銃をレンタルして、クレー射撃を体験することはできませんが、日本クレー射撃協会では銃の所持許可を持たない人でも楽しめる実銃を模した射撃シュミレーターによる初心者体験会を提供しています。体験会以外にも、シュミレーターを設置している銃砲店や屋内射撃場にて、クレー射撃を体験することができます。

1.日本クレー射撃協会の体験イベント
公益社団法人日本クレー射撃協会が主催・後援する体験イベントが、各地の射撃場や市民体育館などで不定期に開催されています。
初心者向け講習、銃の取り扱い説明、安全教育などサポートが充実しており、初めての方でも安心して参加できます。
イベントには、国体選手や日本代表選手なども参加することがあり、射撃場で開催される体験会では、一流選手の射撃を間近で見ることができます。

(公財)日本クレー射撃協会 公式サイト
🔗~シミュレーターで体験してみよう~

2.シミュレーターを使った屋内射撃場
近年は、シミュレーターを使った屋内型の射撃体験施設も増えています。
実銃を使用しないため、銃を所持していない方でもクレー射撃を体験、練習ができます。
コントローラーは実銃を模したものを使用するため、実際の銃の質感や重さを肌で感じることができます。
そのため、天候に左右されずに射撃の基本動作を練習できるのが特長です。
クレーの軌道再現やスコア計測など、ゲーム感覚で楽しみながら技術向上にも役立つ、新しい入口として注目されています。

体験・相談ができる施設・銃砲店

銃砲店では、シュミレーター体験のほか、銃を見せていただいたり、所持許可取得にについて詳しく教えていただけます。
射撃場では、実際の射撃を見学したりすることができます。
※訪問する際は事前に連絡するとスムーズに体験できます。

POPULARIZE


 普及活動への想い 

競技を始めるためのステップ
クレー射撃を始めるには、銃が必要です。銃を所持するためには、各県の公安委員会が発行する「所持許可証」が必要になります。
所持許可の申請は、住所地を管轄している警察署の生活安全課の銃砲担当者にすることになりますが、申請をしたらすぐに銃を所持できるわけではなく、いくつかのステップを踏んで、所持する流れになります。

Step1.
講習会と学科試験(初心者講習)
警察署のHPより、講習会の日程と申請書類等を確認し、警察署の生活安全課にて、受講の申し込みをします。
初心者講習では、銃の仕組みや取扱い方法、法令、安全面の注意事項などを学びます。
講習終了後、〇×式の考査があり、50問中45問以上の正解で合格となります。
その後、「講習修了証明書」が発行され、次のステップに進むことができます。

Step2.実技試験(教習射撃)
教習射撃を申請する際に、「教習射撃認定証」が必要になります。
Step1同様、警察署にて申請後、警察署が教習射撃を受ける資格があるか否かを身辺調査や審査が行われます。
問題がなければ、「教習資格認定証」が発行されます。
その後、実技試験に必要な装弾を購入するための「火薬類譲受許可証」の申請を行います。
2つの許可証が揃えば、指定の射撃場に教習射撃の申し込みができます。

教習射撃では、銃の分解・組立方法、構え方、安全面の注意事項の説明を受けたのち、実地試験が行われます。
実地試験では、命中率よりも安全配慮(銃口を人に向けない、引き金に指をかけない、銃口の取扱い方など)を、
しっかり会得できているかが合格の基準となります。いくら命中しても、安全配慮ができていなければ、不合格になります。
合格すると「教習修了証明書」が発行され、次のステップに進みます。

Step3.銃砲店で相棒(銃)を選ぼう(所持許可申請)
銃砲店に行き、用途や好みに合った銃を探します。
気に入ったものを購入し、銃砲店から書類を発行してもらい、警察署生活安全課に申請しに行きます。
所持許可の発行は、所持許可申請をしてから35日以内に許可が発行されます。

Step4.遂に相棒でクレー射撃が!(許可証交付)
無事に承認されると警察署担当者から連絡が来ますので、所持許可証を受け取りに行きます。
それを持って、銃砲店に購入した銃を引き取りにいきます。(銃を持ち歩く際は、必ず許可証を携帯)
銃を引き取った後は、必ず、警察署に”許可証の内容”と”実物”が一致しているか確認してもらわなければなりません。
確認が済めば、すぐにでも射撃場に持って行って使用することができます。

ここまでが銃所持するための大まかな流れです。
詳しくは、警察署や銃砲店、日本クレー射撃協会のHPよりご確認ください。

(公財)日本クレー射撃協会 公式サイト

誤解を超える挑戦の「きっかけ」を
クレー射撃は「お金持ちのスポーツ」「敷居が高い」というイメージから、競技人口が増えにくい現状があります。金子選手は、このマイナー競技のイメージを変え、その真の魅力と楽しさを一人でも多くの人に伝えたいという強い熱意を持っています。
金子選手は今後「私のような社会人でも世界を目指せる」ことを自身の活動で証明し、誰かの新しい挑戦の「きっかけ」となることを目指して活動を続けていきます。

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